民藝好きなら訪れたい!心ときめく色と模様。八尾和紙を継承する「桂樹舎」の、手仕事の和紙の魅力に触れる

ぱっと目を引く色鮮やかな模様の名刺入れや文箱など。実はこれら、意外にも和紙で作られています。

障子紙や傘紙、そして富山の売薬で使用する薬包紙など、日々の生活の中でさまざまな用途の紙として作られてきた八尾和紙。現在、その伝統を唯一受け継いでいる「桂樹舎(けいじゅしゃ)」を訪れました。

和紙のイメージをくつがえす模様と色

毎年9月に開催される「おわら風の盆」で名を知られる富山市八尾町。

その八尾町で、富山県の伝統工芸品「越中和紙」のひとつ、八尾和紙を現在唯一製造しているのが「桂樹舎」です。

桂樹舎の和紙を使った製品は、これが和紙? と驚いてしまうような、大胆な模様や鮮やかな色が印象的。これは「型染め」という、型紙を用いて柄を染める染色技法で作られています。

和紙の型染めが生まれたきっかけ

型染めは通常、布を染色する技法です。桂樹舎の2代目・吉田泰樹さんにうかがうと、戦後の布が手に入りにくい時期に、民藝運動の第一人者でもある染色家・芹沢銈介氏から、型染めに使う和紙が作れないか? と、桂樹舎の創業者・吉田桂介氏に相談があったそうです。

これがきっかけとなり、水に濡れても破れない丈夫な和紙が誕生しました。やがて桂樹舎でも、オリジナルのデザインで型染めの和紙を作るようになったのだとか。

その型染めの和紙の模様はすべて、民藝に傾倒していた創業者の桂介氏によるものなのだそうです。

丈夫さが特徴の八尾和紙

型染めの和紙に触ってみると、厚みがありしっかりしています。と同時に、でこぼこしたしわ加工のやさしい手触りに心が和みます。

ていねいに手作業で作られたものの良さが感じられます。

 

丈夫さを生かして、角座(座布団)やクッションも作られています。使い込むほどにやわらかさとつやが出て、革のような風合いになるそうです。

八尾和紙の紙すきを体験

桂樹舎では、八尾和紙の伝統的な和紙づくりを体験することができます。

和紙の原料である楮(こうぞ)や、トロロアオイが溶かされた水を木枠にすくい上げて均一に慣らします。

 

今回は、おわら風の盆をイメージして選んだ和紙のパーツをアクセントにしました。専用の機械に乗せてシュッと脱水すると、たちまち紙の状態になりました。ていねいにはがします。

 

温められた大きな鉄板に貼り付けて、さらに乾燥させます。ブラシで均すようにして密着させます。和紙から湯気が立ちのぼりました。

 

しばらく待つとオリジナルデザインの和紙のできあがり。まさにできたてのほやほやです!

売店や喫茶室、和紙の博物館も

民藝の品々が置かれ、どことなくなつかしい雰囲気も感じられる桂樹舎の喫茶室。建物は、八尾町の山間部にあった小学校を移築したのだそうです。

 

売店にはカラフルな和紙や、型染めの和紙小物がずらりと並びます。思わず財布のひもがゆるんでしまいますよ。

日本や世界の紙や紙製品を展示する博物館「和紙文庫」を楽しむこともできます。

職人の手仕事の美を体感できる桂樹舎は、和紙や民藝に興味のある方にとっては特におすすめです。富山の旅で訪れてみてはいかがでしょうか?

桂樹舎

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