知れば立山をもっと好きになる。五感で感じる立山の魅力スポットを大特集
ケーブルカーと高原バスで手軽に行ける、標高2,450mに広がる室堂(むろどう)。息を呑む絶景スポットの裏には、立山信仰に由来する数々のエピソードが隠されています。知れば立山をもっと好きになる、歴史と伝統を秘めた立山エリアのスポットと合わせて、魅力を紐解いていきます。
目次
立山を知る第一歩。まずは室堂を散策
室堂は立山登山の一大拠点で、アルペンルート開通期間は多くの登山客で賑わいます。その魅力は、ケーブルカーと高原バスを乗り継いで誰でも簡単にアクセスできること。そしてターミナルを出てすぐに、非日常な絶景が広がることにあります。こんな体験はアルペンルートでしか味わえません。
はじめてのアルペンルート散策は、室堂エリアだけでも十分な満足感をもたらしてくれます。そう断言できるほど、多彩な魅力スポットが徒歩2km圏内に散りばめられているのです。以下のスポットは、1時間も歩けばすべて回り切ることもできるほど。ぜひ発見の旅に出てみましょう。
立山室堂
現存する日本最古の山小屋で、国の重要文化財に指定されています。「室」は宿泊所、「堂」は宗教的お堂を意味します。約300年も風雨にさらされ続ける木造の壁に、立山の厳しい自然環境を感じることができます。
玉殿岩屋(たまどののいわや)
立山開山伝説のクライマックスの場面として描かれる岩屋。この岩屋の中で、阿弥陀如来が佐伯有頼(さえきありより)に立山開山を説いたとされています。現在でも祈祷を捧げる人々が訪れる神聖な場所です。
地獄谷(じごくだに)
草木の自生を阻む、殺伐とした山肌。現在は立ち入り禁止で、エンマ台からのみ全景を拝むことができます。火山ガスの噴き出る谷底を見下ろせば、地獄になぞらえた古の人々の感性に同調できることでしょう。
血の池
地中の鉄分が溶け出し、赤く染まった火山湖。「血の池地獄」と形容され、周囲の緑とのコントラストが一際異様な雰囲気を放つスポットです。
みくりが池
約1万年前に形成された周囲約630m、水深約15mの火山湖。無風の日は雄大な山々を逆さに映し出す、天然の大鏡となります。
みくりが池温泉
日本一の高所を誇る温泉。散策で疲れた体を、温泉とカフェが癒してくれます。天気が良ければ、目の前に富山湾と街並みが広がります。
雄大な山々をバックに食べるソフトクリームは、格別の味。ブルーベリーとのミックス味も楽しめます。
玉殿の湧水
豊富な地下水を蓄えた、雄山から湧き出る岩清水。古来は人々を潤してきた命の源であり、日本の名水百選にも選ばれています。日本一高い場所で採水される点も注目。
歴史を知り、伝説を知れば、立山をもっと好きになる
アルペンルートに足を踏み入れた時、その圧倒的な景色に心奪われる人は多いでしょう。同時に、不思議で不気味な名前のスポットが多いことにも気が付きます。こんなに美しいのに、なぜ地獄谷なの?その謎を解くヒントが数多く残されているスポットが、芦峅寺(あしくらじ)集落です。
かつて、立山登拝を行う人々が寝泊まりする宿坊が立ち並び、立山信仰を広める役割を担ったとされる芦峅寺集落を散策してみました。
芦峅寺雄山神社
雄山山頂、岩峅寺(いわくらじ)と並ぶ3つの雄山神社の1つであり、「芦峅中宮祈願殿」と呼ばれ、開山伝説の主人公である佐伯有頼が祀られています。樹齢500年を超えるものもある巨大な杉木立は、さながらパワースポットのようです。
富山県[立山博物館]
立山開山伝説や立山地獄が描かれた「立山曼荼羅」を展示している博物館。立山のルーツを紐解き、その思いもよらない物語に触れた時、目の前の絶景は2倍3倍にも鮮やかに見えるはずです。
布橋(ぬのはし)
日本三霊橋にも数えられる、聖なる橋。三途の川にかかり、あの世とこの世を繋ぐとされたこの橋を渡ることで、極楽浄土に至れると信じられていました。女性救済の儀式である布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)の舞台です。
教算坊(きょうさんぼう)
立山博物館に隣接する、立山登拝を行う人々の宿泊拠点であったかつての宿坊の一つ。美しい日本庭園は、心洗われるような静寂に包まれています。
まんだら遊苑
地獄、立山登拝、極楽浄土の3つを連続して擬似体験する遊苑。現代アートのような展示はどれも必見です。
味覚で感じる、立山の恵み
芦峅寺雄山神社から徒歩5分、ランチタイムに訪れたいスポットが「まんだら食堂」。立山帰りの観光客や地元民に長く愛される憩いの場であり、芦峅集落の今昔を伝える場所でもあります。
食べることは、その地と一つになるということ。芦峅の山々が育んだ山菜をふんだんに用いた「あしくら御膳」は、肉や魚などを一切排した精進料理。往時を偲びながら、立山の恵みを感じさせてくれる一品です。
知れば知るほど、立山を好きになる
古来、修行の道であり、信仰の対象であった立山。その歴史的背景や逸話に注目することで、室堂で目にする大自然はまた違った魅力をもって、あなたを虜にすることでしょう。
立山に登り、極楽浄土を願った当時の人々。山行を終えて立山駅に再び降り立った時、生まれ変わった自分に巡り会える。そんな感覚を、立山でぜひ味わってみてはいかがでしょう?
富山県[立山博物館]
富山県中新川郡立山町芦峅寺93-1
- TEL:076-481-1216
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