風の盆の町、越中八尾を散策

富山市南西部にある八尾(やつお)町は、毎年9月1〜3日に行われる「おわら風の盆」の開催地として知られています。養蚕によって財を成し、ほかにも生糸の取り引きや和紙製造、木炭の生産により発展しました。情緒が漂う坂の町は格子の家が軒を連ね、町人文化が色濃く残っています。哀愁ある町を、のんびりと散策しましょう。

富山市八尾町までのアクセス

● 富山駅から

電車:JR高山本線  越中八尾駅下車(中心部までは越中八尾駅から徒歩約20分。コミュニティバスも運行)

【参考】富山市コミュニティバス(八尾地域)

バス:富山地鉄バス「八尾鏡町」下車

● 富山きときと空港から タクシーで約20

● 北陸自動車道 富山ICから、車で約30

哀調ある音色で町を流す「おわら風の盆」

毎年9月1日~3日に本祭りが実施される「おわら風の盆」は、八尾町に秋の訪れを告げます。編み笠を目深に被った男女が、哀調ある音色を奏でる胡弓や三味線、越中おわら節の唄に合わせて、情緒豊かに町を流します。江戸時代から300年余り踊り継がれており、「旧町(きゅうちょう)」と呼ばれる10町内(支部)と福島地区(支部)が、それぞれに町を流します。歴史ある坂の町をしっとりと流す姿は、艶やかさと気品に満ちています。

おわら風の盆を知るなら「八尾おわら資料館」

「八尾おわら資料館」では、おわら風の盆の発展に尽力した地元の医師の川崎順次の功績、八尾町の春夏秋冬を詠んだ歌詞「八尾四季」などを紹介しています。さまざまな歌詞を読んでいると、悲恋の歌が多いことに気づくでしょう。おわら風の盆は、叶わぬ恋心を抱く女性の哀しさと募る思いを、胡弓の音色と唄、踊りで伝えているのです。また映像展示室では、幻想的で優美なおわらの映像が大画面で鑑賞できます。踊り子のように編み笠を被って写真が撮れる大パネルもありますよ。

明治17年創業の割烹旅館「北吉」で昼食

旧町のひとつである鏡町は花街として賑わった場所で、割烹旅館の「北吉」は、当時の面影を残した建物で食事ができます。政府公認の料亭として華やいだ歴史を持ち、かつては多くの芸妓がいましたが、それも昭和中期までのこと。今は地元の旬の素材を使った会席料理を提供しています。女将の北吉正代さんは、ここで生まれ、家族とともに店を切り盛りしています。鏡町が花街であったころの香りは薄れてしまいましたが、残された写真や手紙などを紹介しながら、語り部として花街の歴史を伝えています。

日本の道100選「諏訪町本通り」を歩く

道の両側に格子戸の家屋が並び、石畳が続く諏訪町本通りは、日本の道100選に選ばれています。「おわら風の盆」が実施される旧町のひとつで、諏訪町の町流しは幅の狭いこの通りで行われています。積雪が多いことから、緩やかな傾斜のある道の特徴を利用して、道の両側の側溝から雪を流しています。この耳を澄ますと心地良い音がする用水は「エンナカ」と呼ばれ、“エンナカの水音とおわら風の盆”として「残したい日本の音風景100選」にも選定されています。

 

【参考】「音風景100選」及び「かおり風景100選」の選定について

地域を支えた蚕を祀る「若宮八幡社」

東新町通りのそばに、かつて八尾町の産業を支えていた蚕を祀った「若宮八幡宮」があります。鳥居の「八幡社」の八の字が蚕をデザインしていたり、手水舎の注ぎ口が蚕で桶が繭の形になっていたりと、蚕を敬う氏子たちの思いが伝わってきます。



豪華絢爛な曳山を展示「八尾曳山展示館」

1740年代から受け継がれている「曳山祭」の山車を3基展示しています。越中の美術工芸の粋を集めた豪華絢爛な曳山は、御神体や天幕の紋、彫刻などが町内ごとに異なり、井波彫刻や城端漆工、高岡彫金など、それぞれに名工の手腕が発揮されています。受け継いできた町の人らが、修復を繰り返し、美しい姿を守ってきました。どれも高さが7m以上あり、下層部は楽器を奏でる囃子方が入れる構造です。館内に流れる曳山囃子の音色を聞いていると、気分が盛り上がってくるでしょう。

蚕と八尾町のつながりを知る

江戸期に全国で養蚕農家が増えたことで、八尾町は国内有数の蚕種(さんしゅ/カイコの卵)の産地となり「蚕都(さんと)」と呼ばれた時代もあります。昭和の半ばごろまでは、自宅で養蚕している人もたくさんいました。地域の人々の暮らしが養蚕で豊かになったことが、曳山行事やおわら風の盆などの文化の発展にも影響しています。「八尾曳山展示館」には養蚕について紹介するコーナーがあり、養蚕業の歴史を紹介しています。地元の小学校の校章にも蚕がデザインされていることからも、密接なつながりが見えてきます。

「桂樹舎 和紙文庫」で八尾町のお土産選び

八尾町を歩いていると、いろんな施設や商店で和紙工芸品を目にするでしょう。井田川沿いにある『桂樹舎(けいじゅしゃ)』は、手漉き和紙に美しい型染めを施した彩り豊かな日用品を多く手掛けていて、ペン立てや文箱、椅子敷、カレンダーなど多くの商品を作っています。先代の吉田桂介さんが切った型を使い、国内各地で昭和期に衰退した和紙産業を唯一無二の存在にして守ってきました。現在も手作業を続け、手漉き和紙にのせる糊は、もち米と米ぬかを蒸して、塩や石灰を合わせるなど、昔ながらの製法を貫いています。

「よばれっちゃ」クーポンで、お得で楽しい町歩き

「おわら風の盆」が開催される旧町の散策を、便利でお得にしてくれるのが「よばれっちゃ」クーポンです。パンフレットを開くと、細い道が入り組んだ旧町が見やすいマップになっています。曳山展示館の入場券(1枚)、喫茶割引券(1枚)、食べ歩き引換券(3枚)が付いているので、町歩きを楽しみながらいろんな場所に立ち寄ってクーポンを使いましょう。八尾町にまつわるプチ情報も載っているので、散策するルートを考える参考にしてくださいね。

「よばれっちゃ」クーポン販売場所:八尾曳山展示館

価格:大人1,000円(税込)、高校生以下:840円(税込)

お問い合わせ:越中八尾観光協会(076-454-5138)

 

● 食べ歩き引換券を使って交換できるものの一例


「おわら風の盆」の踊り子の形をした最中。

 


せんべいに唄の歌詞の一部が書いてある。

 


地元の豆富店が富山県産大豆で作った豆乳。

 

 

● 喫茶割引券を使って注文できるメニューの一例


散策の合間に、喫茶店でひとやすみ。

 

地元の人と交流しながら「おわら風の盆」「曳山祭」の魅力に浸りましょう。由緒ある割烹旅館「北吉」でのお食事や三味線体験等を含み、おわら風の盆の町を贅沢に楽しむツアーも用意されていますので、ぜひチェックしてみてください。

お得なクーポン・観光体験プランのご予約なら「VISIT富山県」

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